一時はコロナ禍でリモートワークが普及してオフィスが不要になり、ビルメンの仕事も無くなるのではないかと危惧されていましたが、全くそんな様子はありません。むしろ入退去が増えて仕事が忙しくなっている状態です。
良くも悪くも安定しているビルメンテナンス業界ですが、常に人手不足な業界です。未経験の30代~50代で転職も可能です。
しかしいきなりビルメンテナンス業界に飛び込むのも難しいと思いますので、仕事の内容や資格の取得に有効な職業訓練校(都立職業能力開発センター)に行くのをおすすめします。しかも失業保険をもらいながら勉強することができます!
私が東京都城東職業能力開発センターの電気設備管理科を経由してビルメン業界に転職するまでを思い出してみます。これからこの業界に就職・転職しようと考えている人の参考になれば幸いです。
職業訓練校とは
職業訓練校は求職者・転職者のために就職に向けて職業に必要な知識・技能を習得するための施設です。正式名称は職業能力開発センターですが長いので「職業訓練校」とか「訓練校」と呼ばれることが多いです。
失業保険をもらいながら訓練を受けることができる
職業訓練校に通っている間は失業保険が延長されます。ただし入校日までに失業保険の支給が残っていることが条件なので募集期間と入校日はよく確認してください。申し込みをしてから筆記試験と面接に合格してから入校となるので、実際に入校するのは結構先になります。
失業保険の支給が終了していても条件はありますが職業訓練受講給付金という制度があります。
職業支援・給付金などについて知る|ハロトレ特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
ビルメン業界で働くために必要な資格を取得することができる
いわゆるビルメン4点セットと呼ばれる以下の資格取得に向けたカリキュラムが組まれており効率的に勉強することができます。
- 第二種電気工事士
- 危険物取扱者 乙種4類
- 二級ボイラー技士
- 第三種冷凍機械責任者
第二種電気工事士は技能試験対策の授業があり、工具や材料が使いたい放題です。訓練校から持ち出しはできないので実際の実技試験で使うことはできませんが。ケーブルなどの材料は買うと結構高いので助かります。
二級ボイラー技士は筆記試験合格後「ボイラー実技講習」(3日間・23100円)を受講する必要があるのですが、同等の講習を授業で受けることができます。ただしその授業を欠席すると修了証が貰えないので注意。
ビルメン業界で働く仲間を作ることができる
転職活動とは孤独なもの…。しかし職業訓練校では同じ目的を持った仲間を作ることができます。訓練校の生活は学生時代に戻ったような感じでとても楽しかったです。特に仲の良かった人とは就職してからもお互いの会社の情報交換をしたり、一緒に遊びに行ったりしています。
また就職先でも職業訓練校の卒業生が多く、会話のきっかけになりました。コミュ障の私はとても助けられました。
失業中の社会的地位を得ることができる
失業中は「無職」という心理的プレッシャーに精神崩壊しそうになります。アンケート等で職業を記入するときに地味にダメージを受けるんですよね。
しかし職業訓練校に通っている間は「訓練生」という謎の社会的地位を得ることができるのです。あまり状況は変わっていないのですがそれだけで精神的に少し楽になりました。
ちなみに職業訓練校は履歴書の職歴欄に書けます。企業の採用担当が経歴として判断してくれるかは別として…。
ハローワークより労働条件の良い求人情報が来る
職業訓練校にはハローワークより労働条件の良い求人情報が来ます。また企業側も訓練生のレベルを理解しているため合格率も高いです。
とはいえ民間の転職・求人情報サイトほど条件が良いわけでは無いのであまり期待しないように…。
就職する時期が遅れる
職業訓練校には半年または1年通う必要がありますので、就職する時期が遅くなります。
建前上は「募集・採用における年齢制限禁止」となっていますが日本の年齢至上主義はとても根深く守られているとは言えません。
特に29歳と30歳、34歳と35歳、39歳と40歳で大きな年齢の壁がありますので職業訓練校卒業時に超えてしまう場合は注意したほうが良いかもしれません。
ビルメン業界は比較的年齢の壁には優しい業界ですが、やはり就職率に差が出てきます。
金銭面の問題がある
失業保険が延長されるので基本的には金銭面の問題は少ないですが、国民健康保険や住民税など出費を考える必要があります。
また失業保険・職業訓練受講給付金が対象外の場合は自費で生活しなければなりません。
必ず就職できるわけではない
職業訓練校はあくまで就職に向けて職業に必要な知識・技能を習得するための施設であって就職を斡旋してくれるわけではないので、就職活動は自分で行わなければなりません。
職業訓練校に来る求人だけでなく転職・求人情報サイトなども活用して就職活動を行っていく必要があります。
職業訓練校体験記
職業訓練校へ入校するまで
ハローワークへ行って失業保険の手続きを行い、相談窓口で職業訓練校に通いたいことを伝えると色々と説明してくれます。
募集期間や見学会などのスケジュールは東京都立城東職業能力開発センターのHPを参照してください。
ビルメン業界に関連する科目は以下になります。
科目 | 期間 | 入校時期 | 授業料 | 備考 |
電気設備管理科 | 半年 | 1月・4月・7月・10月 | 無料 | |
ビル管理科 | 半年 | 4月・10月 | 無料 | 50歳以上 |
電気工事科 | 1年 | 4月 | 有料 | 30歳以下 |
ビルメン業界に転職する20代~40代の人は基本的に電気設備管理科になります。電気設備管理科でも電気以外の設備の勉強はしっかり行います。
科目名的にビル管理科に入校したくなりますが、こちらは50歳以上が対象です。
また電気工事科からビルメン業界に就職した人もいました。
私は当初IT業界で転職するつもりでしたが諦めて職業訓練校に通うことにしたので、ハローワークで相談した時点で失業保険の給付日の残りが30日ほど。どうみても入校日前に支給終了です。
また、職業訓練受講給付金については支給要件の「3.世帯全体の金融資産が300万円以下」という条件に当てはまらなかったので支給されませんでしたけど。前職の給料だけは良かったので…。
そんなわけで自腹で職業訓練を受ける珍しい人になりました。
職業訓練校の筆記試験と面接について
筆記試験は国語と数学、中学・高校レベルで特に難しい問題は無かったと思います。TOKYOはたらくネットに過去問があるので雰囲気を掴んでおくといいかもしれません。
面接は10分位の簡単な内容でした。覚えているのは以下の質問。

志望動機を教えてください

前職でデータセンターで仕事をしたときに
電気設備や空調設備を見て興味が湧いたンだわ(適当)

職業訓練校は現在の自宅から遠いけどちゃんと通えますか?

自宅から訓練校まで1時間ちょっと掛かるけど
入校が決まったら近くに引っ越しする予定なので大丈夫なンだわ!

第二種電気工事士の資格持っているのなら
直接就職活動したほうが良いのではないでしょうか?

高校で取得したけど関連する仕事は
してなかったのでもう一度教えて貰いたいンだわ!
あとボイラーや冷凍機は独学だと全然イメージが
掴めなかったので勉強したいンだわ!

失業保険の支給は終了しているけど
卒業までの生活費はどうする予定ですか?
アルバイトしながらだと厳しいと思いますよ

貯金あるンだわ!
大体こんな感じで特に難しい質問などは無かったはずです。基本的に職業訓練校の倍率はよほど人気のある科目でない限り1倍前後なので筆記試験・面接で大失敗しない限りは落ちないんですが、私が受けた電気設備管理科は約2.1倍でした。この業界は不景気だと人気になるとか…。
そんなこんなで無事合格し、無職から職業訓練校生という社会的地位を得たのです。
職業訓練校の生活について
城東職業能力開発センターは平成27年4月に出来たばかりだったので施設や設備はとても綺麗でした。職業訓練校の生活は学生時代に戻ったような感じで面白かったですよ。
職業訓練校は基本的に公共交通機関を利用して通学するのですが、家が近い場合は申請して自転車で通うことができます。
私は職業訓練校の近くに引っ越ししたため公共交通機関よりも自転車のほうが早かったので無事に申請が通りました。駐輪場はそんなに広くないので空き具合等によっては申請が通らないかもしれません。
毎日9:05~16:30までしっかりと授業がありますので、無職期間で鈍った生活習慣を改善するにはとても良い訓練になったと思います。
残念ながら明らかに失業保険延長の目的で来ているようなやる気の無い人も居ましたので、モチベーションが削られないように注意です。
職業訓練校の就職活動について
職業訓練校は半年間通うのですが、卒業と同時に就職する為に4ヶ月目くらいから授業と平行して就職活動をしなければなりません。
職業訓練校にはハローワークより少し労働条件の良い求人情報が来ます。
就職活動支援として履歴書・職務経歴書の書き方について相談したり添削してくれたりしました。また面接の練習も何回か行ってくれました。
卒業までに真面目に就職活動してた人は、条件を選ばなければ(ここ重要)どこかの内定はもらえていました。常に人手不足の業界ですからね。
まとめ
職業訓練校にはメリット・デメリットは色々ありましたが、私は職業訓練校に入校して良かったと思います。

ビルメン業界はいつでも皆様の就職・転職をお待ちしております。”下”で待っとるで!